LGBTなど性的少数者の皆さんへの偏見と差別を解消し、権利を保障するため、古賀市として、性的少数者のカップルを公的に認定する「パートナーシップ宣誓制度」を早期に制定する方針を明らかにしました。県内では福岡、北九州の両政令市が同制度を制定していますが、実現すれば一般市町村では初めてとなります。本日開催された市議会本会議の一般質問に対する答弁で明らかにしました。本日は2人の議員の方から質問をいただきました。
【LGBTなど性的少数者の権利保障】
古賀市は偏見や差別をなくし、個性ある私たち一人一人が自分らしく生きていくことができる社会をめざしています。私たちは、個人を尊重し、多様性を認める共生社会をめざさなければなりません。その意味で、少数者の権利保障は極めて重要です。性的指向や性自認は人格権と捉えられ、LGBTなどの性的少数者の皆さんの「生き方」を理解し、尊重しなければならないと考えています。
この日の質問に対する答弁で、「パートナーシップ宣誓制度については、既に担当課に早期制定の指示をしており、先行して実施している福岡市の取り組みなども参考にしながら、準備をしている」と明らかにしました。2015年4月に東京都渋谷区から始まったこの制度は、現在、九州の福岡市、北九州市、長崎市、熊本市、宮崎市といった県庁所在地・政令市を含む全国20以上の自治体で導入されています。
LGBTの皆さんとは、私自身がこれまでも意見を交わす機会がありました。LGBTの方は、自身のことを理解されなかったり、拒絶されたりするのではないかといった不安感などから、ご家族を含め周囲の人に打ち明けられず悩んでいたり、困っていることを相談する先がないなどの課題を抱えています。また、同性パートナーは法的に夫婦として認められません。病気などの治療や手術の際に同意者になれない、家が借りにくい、男女別の空間であるトイレや更衣室が使いづらい、児童・生徒の場合は宿泊を伴う学校行事に参加しづらい、さらには災害時の避難に関する課題といった生活全般にわたって様々な困難があります。
地方自治体として、まずはパートナーシップ宣誓制度を制定することで、職員や市民の皆さんの意識に変革をもたらす効果や、医療や住居、教育、防災など様々な施策で性的少数者の権利擁護を意識するようになることが期待されます。私が話したある当事者の方は、性的少数者に関するあらゆる取り組みを推進するきっかけになるとの思いから、この制度を「LBGTのスイッチ」と表現されています。
古賀市では現在でも、職員や人権擁護委員等による相談への対応や、内容に応じて関係機関等につなぎ、連携して相談者が抱える問題の解決に向けて取り組んでいくことにしています。広報こがにおける特集記事の掲載や人権カレンダーを使った啓発をするともに、古賀市社会「同和」教育推進協議会への委託事業の中で、LGBTをテーマとした講演会の開催や視聴覚教材を活用した校区啓発を実施しているところです。また、学校現場でも、性の多様性に対応できるよう、いずれの学校においても、LGBTの児童生徒はもちろん、すべての児童生徒の個性をとらえ、それぞれに配慮した対応をしています。人権学習の一つとして古賀市人権教育副読本いのちのノート等を活用しながら、年齢段階に合わせて指導を行っています。教職員を対象とした研究会や学校の校内研修において、当事者や啓発団体関係者を講師に招き研修を行っています。
パートナーシップ宣誓制度が、これまでの取り組みをさらに充実させる、誰もが生きやすい古賀市に向けた大きな契機となるよう、実現に向けて準備を進めていきます。
【「健康」を軸としたまちづくりの推進】
これからの古賀市のまちづくりで「健康」は重要なキーワードです。市長就任後に公表した「持続可能な都市に向けた経営方針」でも3つの大きな柱の一つに位置付けています。また、今年度から策定作業を始めた次期総合計画(第5次総合計画、期間は令和4年度からの10年間)における将来の都市イメージを考えていくうえでも「健康」という観点は大切な要素です。
こうした基本的な姿勢のもと、令和2年度の当初予算編成に向けた考え方について答弁しました。古賀市の健康づくりは「ヘルスアップぷらん」に沿い、生涯を通じた市民の主体的な健康づくりをめざして進めており、特に無関心層には、健康に興味を持つきっかけづくりや、自発的に健康づくりに向けて望ましい行動を選択する仕掛けが重要と捉えています。次年度の施策については、これまで市として取り組んできた「ヘルス・ステーション」や「歩く王決定戦」などの事業の成果を活かしながら、一層充実したものとなるように、今後検討していきます。
若者の健康づくりの推進については、特に、子どもの頃から規則正しい生活習慣を身につけ、健康状態の確認を行うことが重要と考えており、次世代を含めた全ての人の健やかな生活習慣形成の軸となる「古賀市健康チャレンジ10か条」を推進するとともに、その確認の手法の1つとして、家族コツコツ健康づくり事業において骨密度測定を行っています。この日の質問では、同じ糟屋地区の宇美町の小学校で取り組まれている血液検査について、古賀市でも実施してはどうかとの提案をいただきました。香川県では全県的に実施しているとの紹介もあり、私からは、子どもの健康状態の把握と健康教育の観点から意義のある取り組みであり、今後の古賀市の健康施策を考えていくうえで参考にしたいとの考えをお示ししました。
なお、小中学生や若者対象の特定健診の必要性については、国の考え方をあらためて説明。国が全世代を対象とし、各年齢層に応じた健康づくりを重要視するとともに、メタボリックシンドロームの予備軍・該当者が増加する40歳以上の者に対して特定健診・保健指導を実施することは生活習慣病の予防に有効であり、また、30歳からの特定健診・保健指導についても40歳以上における発症予防に有効であると考えていることを踏まえ、古賀市としては、この国の考え方に沿って特定健診を進めていくことを前提としながら、小中学生や若者対象の特定健診については今後の検討課題として念頭に置くことを申し上げました。
【市長としての意思決定とその過程】
市長としての意思決定(最終判断)についての質問もありました。市政の基本方針や重要施策は、市幹部による庁議や関係部課協議を経て、市長である私が最終的に意思決定を行います。市政の基本方針や重要施策を決定した際には、議会や市民の皆さまに積極的に情報発信をしていくのが私の基本的な政治姿勢であり、日々それを実践しています。
ただし、意思決定に至るまでの過程では、行政内部で様々な観点から議論を繰り返しながら徐々に意思形成されていくことも多く、議論の中では個人情報をはじめ、公にすることにより市民に無用の誤解や混乱を招く恐れがある情報を扱うこともあります。また、行政内部における自由で率直な意見交換が妨げられるようなことは望ましくないと考えており、意思形成過程の情報をオープンにすることに関しては、情報公開条例に沿った適切な対応をしていく必要があると考えています。
なお、私は市民の皆さまとともにまちづくりを進めていく基本姿勢を堅持しており、日々実践している「対話と交流」は、私の意思決定に当然に影響を与えています。私が就任直後から開催している各地での対話集会やタウンミーティングなどでいただいた市民の皆さまの「声」は、私の意思決定において、様々な政策判断の極めて重要な材料となっています。
なお、庁議や、市長・副市長・教育長による三役会の位置づけについても質問がありました。庁議は、行政運営にかかる重要事項について審議、調整及び協議を行い、市長の意思決定を補佐する機能を有しています。また、三役会は要綱や規程に位置づけのない任意の会議であり、行政運営や組織マネジメントなどに関し、市長・副市長・教育長が情報を共有する場です。政策立案や議論の場は、庁議だけでなく、必要に応じて関係部課協議などを開催しており、意思決定に必要な情報共有や議論は適切に行われていると認識しています。また、庁議における審議の結果、必要と認める事項は、部門会などを通じて職員に伝達し、周知徹底を図っています。以上の内容を答弁させていただきました。
投稿者:【mayor2010】
2019年09月06日 14時23分
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