本日、令和2(2020)年度の当初予算編成を本格的にスタートするに当たり、古賀市として初めて、その基本方針となる「市長メッセージ」を公表しました。もちろん私が自ら執筆しています。あわせて「中期財政見通し」も明らかにしました。これも初めてとなります。これらは、私の公約である「予算編成の見える化」の具体的な実践です。予算編成はまちづくりそのものであり、自治体経営の最も重要な営みだからこそ、市長としてこうした取り組みを推進しています。
公表に先立ち、市の管理職を対象とする説明会を開催し、私から市長メッセージに基づき、予算編成に向けて意識すべきことを伝えました。また、財政課の企画で、対話で結論を導く自治体経営シミュレーション(SIMULATION2030)を職員が体験しました。
予算編成の見える化の取り組みとしては、就任直後、新たに「持続可能な都市に向けた経営方針」を策定。公約を踏まえたビジョンを公表し、今年度当初予算もこの経営方針との関連が分かるよう、初めて概要版を作成しました。市の公式HPで公開するとともに対話集会などでも活用し、市民の皆さまと共有しています。今回の市長メッセージと中期財政見通しの公表は、こうした取り組みの延長線上にあります。
市長メッセージでは、中期財政見通しの内容を踏まえ、市の財政状況が社会保障経費の増加などから厳しくなりつつあり、収支改善を意識しなければならないことを強調しています。そして、そうした状況だからこそ、長期的な視点に立った主体的、能動的で意欲的な取組に基づく自治体経営が求められ、委縮してはならないとの考えを示しました。そのうえで、新たな財源確保の検討、クラウドファンディングや市の実質負担ゼロ事業の検討も求めています。令和4(2022)年度から10年間の第5次古賀市総合計画の策定を意識することやその策定過程でSDGsの視点を取り入れること、新たな時代の変化に対応するためにSociety5.0の実現、AIの活用、RPAの導入の検討についても言及しました。新たなアイデアの創出、情報発信の強化、議会や市民の皆さまからのご意見ご要望を振り返ることの重要性についても触れています。
以下、市長メッセージの全文をお示しします。これに関連する「令和2年度予算編成方針」と「中期財政見通し」については、古賀市HPにデータを公開していますのであわせてご参照ください。(
こちら )
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令和2年度当初予算編成のスタートにあたって(市長メッセージ)
令和元年10月1日
古賀市長 田辺一城
令和2(2020)年度の当初予算編成を始めるにあたり、市長としての基本方針を市幹部はじめ市職員はもとより、市議会の皆さま、市民の皆さまに明らかにすることにしました。古賀市として初めての取組になります。これは、まちづくりは行政だけでなく、議会、市民の皆さまとともに進めていくべきとの考えが根底にあります。そして、この「オール古賀」の理念に基づき、私の公約である「予算編成の見える化」を実践するための重要な手法として、まずは基本方針を以下に示します。市幹部はじめ市職員におかれては、基本方針を強く念頭に置き、当初予算に盛り込む各種施策(事業)について検討してもらいたいと思います。
1 市長公約及び所信表明を意識すること
私が平成30(2018)年11月の市長選に向けて作成したリーフレットや選挙公報並びに平成31年1月に発表した所信表明に記載している理念や政策をはじめとする内容をあらためて確認のうえ、その実現に向けて施策を検討してもらいたい。また、施策を立案、説明する際は、できる限りこれらとの関連を意識すること。
2 「持続可能な都市に向けた経営方針」を意識すること
各種施策を立案する際、私が市長就任後に、公約を踏まえ、庁内での検討を経て打ち出した「持続可能な都市に向けた経営方針」を念頭に置くこと。本経営方針は第4次古賀市総合振興計画の基本目標の達成とこれからの市政運営に向けて策定したものであることに留意すること。私たちがそれぞれ、古賀市にどのような課題があると認識し、その解決のために、この経営方針に示された「産業力」「子ども」「健康・安心」「市民生活を支える基盤」のどこに位置付けられる施策に取り組み、持続可能な地域社会につなげようとしているのか。こうした検討の際、例えば、「産業力×健康」といった掛け算の発想で新たな施策を構築し、相乗効果を上げることも歓迎する。
3 次期総合計画の策定を意識すること
令和4(2022)年度から10年間を期間とする第5次古賀市総合計画について、既に令和元年5月に策定方針を示したところであるが、残り2年となった現計画の成果と課題を捉え、次期計画におけるあり方も意識しながら、各種施策を展開することが求められる。次期計画は、中長期的な視点に立った「基本構想」と、実効性・弾力性・即応性を備えた「アクションプラン」の2層構造からなり、特にアクションプランは毎年度ローリング方式で見直すことを前提としているため、行政の継続性を担保した計画の円滑な移行をめざし、令和2年度からこの構造を意識しておくことが肝要である。また、次期計画の策定過程ではSDGs(Sustainable Development Goals)の視点を取り入れることにしていることも重要である。
あわせて、令和2年度からの第2期の古賀市まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定に向け、現在検証を進めているところだが、その内容も十分に踏まえなければならない。
4 長期的な視点で、まちづくり全体を意識すること
今回、古賀市として初めて予算編成方針と併せて中期財政見通しを公表した。その内容からも明らかなように、市の財政状況は、社会保障経費をはじめとした義務的経費の増加などから厳しくなりつつあり、今後、少子化や超高齢社会化がさらに進み、全国的な傾向である人口減少の影響を受けることにもなる。これらを踏まえ、収支改善を強く意識しなければならない。
こうした状況にあるからこそ、長期的な視点に立った主体的、能動的で意欲的な取組に基づく自治体経営が求められ、委縮してはならないと考える。令和元年度は都市計画マスタープランの改訂作業を行っており、その内容はまちの特性をさらに引き出すことをめざしている。農業・商業・工業の強みを生かすため、JR古賀駅周辺の再開発を「商」機能を付与したにぎわいの空間づくりをベースに推進し、土地利用転換による企業立地の拡大、地産地消の拠点であるコスモス館の機能強化や土地改良による基盤整備の促進に着手しており、産業振興策を積極的に図ることで古賀市における経済活動の活性化と雇用拡大、定住促進の実現に向けて動き出している。令和2年度には利便性の高い公共交通をめざし、地域公共交通網形成計画を策定する。福岡空港の離発着数の増加や予定されている滑走路の二重化を踏まえ、インバウンドの増大をめざした観光施策の推進も図っていく必要がある。薬王寺温泉や唐津街道・青柳宿をはじめとする観光資源の魅力向上、保存だけでなく「活用」を意識すべき段階に入った船原古墳を生かす取組の推進に向け、新たな施策に着手したい。
古賀市のまちづくりの特長は「人を大切にする」ことであり、その関連施策の推進は長期的な人口の維持に寄与する。全小中学校・学年における原則35人以下学級をはじめとする「教育立市こが」の施策推進、子ども・子育て支援、障がい者福祉の充実、全世代型の健康づくり、医療・介護体制、地域における相互扶助の強化に、これまで以上に取り組んでいくことが重要である。政治的・社会的に様々な分野で「分断」が指摘されている昨今、LGBT関連施策の推進をはじめ人権にかかわる取組に一層力を入れて取り組んでいくことも地方自治体に求められている。
公共施設等総合管理計画に基づき令和2年度に策定する個別施設計画において、公共施設の統廃合にひるまず取り組む。行政実務における業務効率や生産性の向上を図るため、AI(Artificial Intelligence)の活用やRPA(Robotic Process Automation)の導入を検討する必要もある。
令和2(2020)年は東京オリンピック・パラリンピックが開催される。古賀市は福津市とともにルーマニアのホストタウンであり、国際交流と多文化共生を推進する好機と位置付けている。国際化が急速に進み、一昔前と異なり、当たり前に多国籍の人が共存する環境になっている。日常的に、できる限り多くの国の人々と市民が交流できる機会の創出、地域社会で外国籍の住民が共生できる仕組みの構築に取り組んでいく必要がある。
これらのことは、古賀市単独で取り組むことで成果が見込まれるものもあれば、周辺自治体と連携することで効果を発揮できるものもある。広域連携による施策の推進も検討する必要がある。
新たな時代の変化に柔軟かつ的確に対応するため、Society5.0の実現やSDGsの目標達成に向けた視点をすべての施策において意識することも重要である。
こうしたことも踏まえ、様々な課題に真摯に向き合い、スピード感をもって、着実に取り組むことで、長期的に持続可能なまちづくりが実現できるとの認識を共有し、各種施策を展開していかなければならない。
5 アイデアを出し、古賀市の魅力を引き出す情報発信を意識すること
古賀市は、全国的な知名度は高くないことをあらためて認識する必要がある。SNSなどによる市独自の発信はもちろん、メディアなどで様々な取組が断続的に報じられることにより、イメージ向上を図ることができる。そのためには、アイデアを出して施策を展開し、意識的に情報を発信していくことが求められる。市役所には、外に向かって発信しにくい「縁の下の力持ち」の仕事が多いことは理解しているが、外に向かって発信しやすい分野は、特にこれを意識してもらいたい。
令和元(2019)年度までの取組で報道されたものでも、▽10連休の際の古賀市独自の「特別休日保育」の実施▽庁舎へのフリーアドレス導入や「水の特命大使」の新設▽令和改元の際の婚姻届提出へのお祝い企画▽ラグビーワールドカップやバスケットボールワールドカップに向けた古賀市出身者の応援をきっかけとした様々な取組▽「立花宗茂と誾千代」のNHK大河ドラマ招致活動への参画――をはじめとして発想と工夫によって古賀市をPRできるものが多々あった。単独の施策でも、古賀市全体の認知度とイメージ向上に寄与できることを意識したい。
6 新たな財源の確保に向けた検討を行うこと
厳しい財政状況になりつつある中でも積極的な行政運営を行うためには、新たな財源確保の手段を検討する必要がある。クラウドファンディングや企業版ふるさと納税の活用、さらには市が有する既存の人材や情報・ネットワーク、民間企業の知見等を活かし、市の実質負担額“ゼロ”で事業を推進し、行政課題の解決や市民ニーズへの対応を図る手法などを検討するとともに、税収確保のためあらゆる角度から検討を行い、国・県その他の補助金や交付金の活用についても積極的に推進すること。
7 市議会からの指摘・提案を振り返ること
市民の負託を受けた市議会議員の皆さまからの指摘・提案は重い。地方自治は二元代表制であることをあらためて自覚し、これまでの本会議や委員会での議論を振り返り、有意な提案については施策に反映させることを検討する。
8 市民の皆さまからの意見・要望を振り返ること
私は市民の皆さまとの「対話と交流」を実践し、市政を運営している。市長就任後、対話集会やタウンミーティングを重ね、意見募集も積極的に実施するなど、市民の皆さまの「声」を意思決定や政策遂行に反映させることを常に意識している。こうしたことを踏まえ、施策の立案に努めてほしい。
投稿者:【mayor2010】
2019年10月01日 17時04分
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