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戦後75年、あの時代を多面的に捉える―「戦争は社会をどう変えたか」講演会を開催(10月12日)

戦後75年。あの時代を多面的に捉えることで、新たに見えてくることがあります。古賀市は平和行政を強化しており、10日、福岡市博物館の有馬学・総館長をお招きして「戦争は社会をどう変えたか~戦争と国民生活」をテーマに講演会を開催しました。

今回、有馬先生は「戦争のもう一つの側面」に焦点を当て、「社会問題を解決しようとする人々に『戦時体制への期待』が存在した」ことを解説。決して戦争を肯定するわけではなく、現実に戦時体制となったことで価値観が変容し、結果としてそれまで乗り越えることができなかった社会課題を乗り越える契機となったことを「女性」「農村」「メディア」の視点から分かりやすく説明してくださいました。

有馬先生によると、例えば「戦争によって女性が社会に出るようになった」ことについて、市川房枝は「国防婦人会については、いうべき事はあるが、然しかつて自分の時間というものを持った事のない農村の大衆婦人が半日家庭から解放されて講演をきく事だけでも、これ婦人解放である」(『女性展望』1937年9月号)と残しています。また、戦時期の食糧管理法によって従来は小作人から地主に払われていた米が全て直接政府に買い上げられる仕組みとなり、戦後の農地改革の前提となったことや、『LIFE』を参考にして欧米向けに日本を紹介するために創刊されたグラフ雑誌『NIPPON』は質が高く、日本におけるグラフィズムの本格的な展開につながったことなどにも触れられました。

繰り返しますが、戦争の肯定ではなく、平時とは異なる状況の中で、結果として社会の変容が促されたという事実をつかんでおく必要があるという学術的なアプローチです。
講演会後、有馬先生とリーパスプラザこが歴史資料館ギャラリーで開催中の企画展「戦争とくらし~庶民から見た戦争~」へ。11月8日まで開催していますので、皆さんもぜひご覧ください。

「戦争は社会をどう変えたか~戦争と国民生活」講演会 講師の有馬先生と 企画展「戦争とくらし~庶民から見た戦争~」会場で

戦争体験者が高齢化し、先の大戦の記憶を確実に未来につなぐため、後進世代の私たちはその体験を追体験しておかなければなりません。不戦を誓い、世界の恒久平和に向けて、引き続き平和行政を推進していきます。

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