◇都市近郊の古賀市の強みを引き出し、持続可能性を高める農業振興
第1次産業の振興は全ての私たちに関わります。この重要なテーマでご提起をいただきました。農業支援と言うと、農業者への支援というイメージを浮かべがちですが、農業者の営農を支援することは、私たち消費者一人一人の毎日の「食」を確保すること、つまり安全で安心な暮らしを実現することにつながっています。
古賀市は、美味しい米や麦はもちろん、イチゴの王様あまおう、温州ミカンやネーブル、デコポンなどの柑橘類、ブロッコリーなどの野菜、鶏卵、花卉をはじめ様々な魅力ある農産品を生産しています。近年は、メロンよりも甘いと言われる高糖度の「スイーツコーン」のブランド化を図り、市内外にファンが拡大しています。
そうした中、全国的な傾向と同様、農業者の高齢化と就農人口の減少などに直面しており、政治・行政の責務は重いと考えています。農業の持続可能性を高めるため、古賀市は都市近郊の強みも生かし、新規就農者の支援の拡大、高効率化を図るための圃場整備(基盤整備)や生産技術向上への支援の推進、6次産業化・農商工連携による販路拡大にさらに取り組んでいかなければならず、答弁ではその決意を申し上げました。また、高齢化する現実を直視したため池や井堰など農業用施設の維持・管理に取り組まなければなりません。市内各地を回る対話集会でも「10年後、自分たちではもうできない」という切実な声をいただいており、対策を検討しています。
今年度、県の北筑前普及指導センターや粕屋農業協同組合と連携した「農業者支援会議」を立ち上げ、きめ細かい新規就農支援や技術指導につなげています。昨年度からは薦野清滝地区の基盤整備事業にも着手。地産地消の拠点「コスモス館」をより魅力ある品ぞろえにすることや、建物や敷地の機能向上、消費者のニーズをとらえることはもちろん農業者の生産意欲を高める仕組みなどの検討も進めています。皆さんと共に新たなアイデアをどんどん出し合いながら、農業振興に取り組んでいきます。
◇古賀駅西口エリアの「本質的な再生」に向けたエリアマネジメント
かつては商機能の集積地だった古賀駅西口エリアの中心市街地としての「本質的な再生」に向け、古賀市は今年度、宮崎県日南市の再生で実績のある外部のプロフェッショナル(株式会社ホーホゥ、木藤亮太・代表取締役)にエリアマネジメントを委託し、活性化に乗り出しました。
このプロジェクトの最大のポイントは、私たち市民一人一人が古賀駅西口の再生による中心市街地活性化の「主体」であること。そして、このことをしっかりと市民の皆さんに伝えていくこと。多くの市民の皆さんにプロジェクトに関わってもらうことが重要です。まちづくりは、マネジメントを託した外部のプロフェッショナルだけが頑張れば成果につながるのでなく、私たち一人一人が参加し、実践すること。この事業の委託期間は3年です。期間を終えると、その3年間の取り組みを基礎として、私たち市民が継続してよりよいまちづくりをしていかなければなりません。私たち行政は、まずはそのための機運を醸成していくことが大きな使命と考えています。
今後、西口エリアの活性化ビジョン作成に向けて市民の皆さんが参加し、協議できる場を企画していきます。その中でこのエリアの課題を捉え、「新たな空間」の役割を考えていくこととしています。そして、これから開発を予定している東口エリアとも連動し、古賀駅周辺の活性化、ひいては古賀市全体の振興につなげていきます。10年、20年先の未来のため、みんなで力をあわせて頑張りましょう。
◇船原古墳の調査研究成果を契機に韓国との交流を
国史跡・船原古墳から大量に発見された金銅製馬具は、古代日本の歴史、特に国際交流を紐解くうえで、重要な遺物とされます。このたび国内で初確認された玉虫装飾の杏葉は、同じく玉虫装飾の馬具が王族などの古墳から出土している朝鮮半島の当時の新羅と、法隆寺(奈良県斑鳩町)の国宝・玉虫厨子をつなぐ、極めて貴重な価値があるとされています。新羅の王都・慶州の馬具が5世紀中頃~6世紀中頃、法隆寺の玉虫厨子などは7世紀中頃で、古賀市の船原古墳の築造は6世紀末~7世紀初頭とみられ、時代的にも地理的にも「中間」に位置。「将来、他の出土品とともに、一連の国宝を構成するに相応しい国際的・文化史的価値を有している」(桃﨑祐輔・福岡大教授、西日本新聞2020年12月9日付朝刊の論考)と評されています。
こうしたことから、国際交流と多文化共生を推進する古賀市としては、今を好機と捉え、韓国との交流をスタートさせるべきだと考えています。議員さんからも同様の提起があり、市として既に駐福岡大韓民国総領事館とやり取りを始めていること、近く、私自身が船原古墳と馬具の価値を説明するため総領事の訪問したい考えであることを報告しました。
◇化学物質過敏症など「香害」のリスクについて周知へ
香りの強い柔軟剤などに起因するとされる「香害」の課題が提起されました。大変有意義なご提案でした。香りの感じ方には個人差がありますが、不快感だけでなく身体症状が出るケースもあります。一方、原因となる化学物質が特定されておらず、生活環境に与える影響も明確になっていません。国による実態把握を注視する必要がありますが、現に困っている方がいらっしゃるため、古賀市として、まずは市民の皆さんに対して化学物質過敏症や香りによっては配慮が必要な場合があることなどについて、分かりやすく周知する方針をお示ししました。なお、小中学校においては、食物や薬品など様々なアレルギー同様、個別の配慮を行っています。
◇地域公共交通網の改善に向け、計画に基づく地域協議会を立ち上げへ
地域公共交通ネットワークの改善もテーマになりました。古賀市は今年度、初めて地域公共交通網形成計画を策定しており、今後、具体策を講じていくことになります。公共交通は、利用者側である市民の皆さんに自らがその当事者であるという意識を持っていただくことが重要です。計画では西鉄バス古賀市内線とコガバスの一体的な見直しに関して、系統別の見直しの方向性を示していますが、見直しにあたっては、地域住民が検討に関わり、具体的な運行内容について発案できるようにすることで、より実態に即した、効率性・利便性向上の効果が高い見直しが可能になることから、既存の住民組織等を活用して主体的に検討を進めていくための「地域協議会」の立ち上げを促進していきます。
なお、AI(人工知能)活用型のオンデマンドバスの導入について提案がありました。古賀市としてもその有効性を注目しているところであり、先行例の実証結果を調査研究していきたいとの考えを答弁させていただきました。
投稿者:【mayor2010】
2020年12月11日 17時13分
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