令和7(2025)年度の当初予算編成スタート!
基本方針となる市長メッセージを公表しました。持続可能性を高めるため、全庁的なDX加速や公民連携による共創、シェアリングエコノミー、働き方改革・オフィス改革を打ち出しています。もちろん人口の維持・増加と雇用創出も。管理職、係長以上の皆さんに説明しました。
市長メッセージの全文は以下。
令和7年度当初予算編成のスタートにあたって(市長メッセージ)
令和6年10月1日
古賀市長 田辺一城
令和7(2025)年度の当初予算編成を始めるにあたり、市長としての基本方針を市幹部はじめ市職員はもとより、市議会の皆さま、市民の皆さまに明らかにします。
この基本方針を明らかにする取組は、私の市長就任後から始めたものであり、まちづくりは行政だけでなく、議会、市民の皆さまとともに進めていくべきという「オール古賀」の理念に基づき、私の公約である「予算編成の見える化」を実践するための重要な手法と位置付けています。市幹部はじめ市職員におかれては、この基本方針を強く念頭に置き、「未来への責任」を果たすため、当初予算に盛り込む施策(事業)について検討してください。私たち一人ひとりが受動的でなく、常に主体性をもって思考し、能動的に行動すること、前例踏襲ではなく意欲的に新たな事業を検討し、予算を編成することで、まちづくりの可能性を広げていきましょう。
1 ⅮⅩを加速すること
技術革新を捉え、デジタルをそれぞれの業務に速やかに実装し、市民サービスを向上させることは時代の要請です。全ての職員がDX(デジタルトランスフォーメーション)を理解し、あらゆる市政運営の現場で実践する必要があります。ポイントは、デジタル技術を取り入れるだけでなく、それが変革(トランスフォーメーション)、さらには革新(イノベーション)につながること。
古賀市は、住民票などのコンビニ交付が増加したことを受け、令和7年1月から市役所窓口の受付時間を短縮し、これにより創出できた時間を政策立案など別の業務に振り向けることができるようになります。定額減税調整給付金の給付業務ではRPAの活用により、約1万1300件の手入力で565時間と見込まれた作業時間を0時間にすることができました。デジタル庁のアナログ規制見直しの一環として産後ケアのオンライン申請を可能とすることで、産後の体調が回復していない状態で窓口へ出向く必要がなくなり、職員の事務効率化も図りました。なんでもきくコーナーのおくやみ窓口はLINE予約を導入したことで、電話がつながらないといった市民の不満が減り、職員も遺族と向き合うための余裕が生まれています。
それぞれの現場の創意と努力でこうした事例がとても増えてきており、感謝しています。DX推進は組織全員で取り組むことで効果が最大化します。機運を高め、さらに加速していきましょう。
2 公民連携による共創を意識すること
社会の価値観が変容し、課題が複雑化・多様化する中、市民サービスの提供者としてプロフェッショナルである私たち公務員だけでなく、市民や民間企業、教育機関、NPOなどの団体と連携することで、その経験や知見、感性を政策に取り入れ、課題解決の可能性を広げることができます。公民連携、多様な人材との「掛け算」による共創のまちづくりを意識してください。この際、人やモノ、場所、時間、スキルなどを共有するシェアリングエコノミーの視点も大切にすることで、実効性を高めることが期待できます。
3 人口の維持・増加と雇用創出をめざすこと
まちの持続可能性を高めるため、移住・定住による人口の維持・増加と雇用機会の創出、関係人口の拡大に向けた具体的な取り組みが求められます。令和4(2022)年度からスタートした10年間のまちづくりの指針である第5次総合計画は令和13(2031)年度の想定人口を6万人に設定しており、あらゆる事業の成果がここに収斂されることとなります。
特に、JR古賀駅周辺開発による中心市街地活性化、企業誘致の加速と居住機能の強化のための市内6地区で同時多発的に進めている工業・物流団地、住宅地を形成する都市開発、スタートアップや事業承継、ワーケーション、多拠点居住など新たな価値観に基づく生き方・働き方の支援はその重要な基礎であり、迅速、着実に進めなければなりません。あわせて、全ての事業がまちの価値を高め、シティプロモーションにつながることを意識しましょう。
4 予算編成に向けて特に留意すべきこと
令和7年度は私の市長としての2期目の任期後半となります。市長公約と所信表明を念頭に置き、第5次総合計画の基本構想に掲げる4つの基本目標と基本構想の推進のための指針がめざすまちづくりを進めましょう。以下、現況を踏まえ、特段留意すべきと考えることを共有します。
人口減少社会を見据えながら、現代の私たちと次世代のそれぞれにとって魅力的な都市機能を実現することが大切です。
当面、人口を維持してまちの活力を生み出すとともに、持続可能性を高めるためには、住みやすいと感じられる、住み続けたいと考えてもらえる公共施設が求められます。この視点から、公共施設等総合管理計画の見直しとあわせ、新たな市民体育館の建設と社会福祉センター千鳥苑の機能の確保に向けて、市全域の土地利用構想を踏まえたうえでの公有地の新たな活用を前提に、まずは今年度中に今後のあり方を確定させ、公園施設としての整備や民間活力の活用など具体的な検討を進めます。
公有財産の有効活用の一環として、休日・夜間に使われていない市役所駐車場の有料駐車場化や公用車の公務以外での利用を可能とするカーシェアリング、旧給食センターの跡地利用を検討します。公共施設の日常的な維持管理や修繕などを包括的に委託し、民間事業者の創意工夫やノウハウを活用する包括的民間委託をめざします。リーパスプラザこが大ホールの商業利用を検討し、生涯学習ゾーンの強化を図ります。
交通網の充実を図るため、古賀駅周辺開発と連動した中心市街地へのアクセス性向上、西鉄宮地岳線跡地や花見佐谷線の整備をはじめとした道路形成を着実に進めます。
公共交通にデジタル技術をさらに実装していきます。西鉄バス古賀市内線や公共施設等連絡バス「コガバス」、AIオンデマンドバス「のるーと」、タクシー、公共ライドシェア、自動運転などの多様なリソースの活用を検討し、市民が主体となった公共交通ネットワークの充実・強化をめざします。
チルドレン・ファーストの理念に基づき、誰もが安心して子どもを産み育てられるまちづくりを推進します。双子や三つ子など多胎家庭支援を強化します。福岡県と連携し、当事者である多胎経験者がピアサポーターとして多胎育児をする家庭に伴走、傾聴、助言する体制の構築を検討します。産前・産後の支援のさらなる拡充を図ります。保育所の一斉入園手続きのオンライン申請をはじめ保育・手当関係へのデジタル導入を進め、保護者による保育所の情報収集や入園申込といった「保活」のワンストップ化を検討するなど、母子保健や保育のDXをめざします。第2子保育料の無償化については、古賀市が既に18歳まで子ども医療費を無償化していること、市財政の状況や宗像・粕屋地区の自治体の動向なども念頭に検討する必要があります。「こども誰でも通園制度」を令和7年度から試行的に実施します。市役所の男性職員の育休取得率が100%となったことを踏まえ、市内企業に男性育休取得拡大を促します。
小中学校体育館への空調設置を段階的に進めます。通学の利便性向上を図るため、路線バスの活用を検討します。不登校対策を強化するとともに、様々な境遇にある児童生徒の多様な学びの機会を保障します。水泳授業の民間委託を本格的に実施します。令和8年度の給食費の公会計化に向けてシステムを導入します。主権者教育を推進し、子どもたちの意見をまちづくりにつなげます。
全ての小中学校で「骨」を介した子どもの健康づくり、「朝」と「測る(計る)」に焦点を当てた産学官連携のプロジェクトに取り組み、食生活や運動、生活リズムの改善を促し、肥満や痩せ、生活習慣病の予防にもつなげます。地元農業者や企業、市民団体などと連携した食育を推進します。医療的ケア児者と家族の支援を強化します。障がい者の様々な情報へのアクセスやコミュニケーションの円滑化を図るための条例制定などを検討します。高齢者福祉増進の観点から、認知症の方を介護する家族や介護事業者にとって効果的な介護技法「ユマニチュード」を導入します。介護保険認定の申請手続きにタブレット端末を活用し、オンラインでの進捗確認も可能とすることで利便性を高めます。
猛暑対策を強化します。公共施設や民間施設などで「涼みどころ」の増設に努めます。駅のバス停や公園へのミストシャワーの設置など冷感向上を検討します。公民連携のプラットフォームで企業の脱炭素経営を支援するとともに、公共施設や民間施設における再生可能エネルギーの導入を促進するなどゼロカーボンシティとしての取り組みを進めます。ワンヘルスを推進し、福岡県馬術競技場の活用など県との連携も強化します。
農業の持続可能性を高めるため、スマート農業の普及拡大を図り、生産の効率化、高品質化、省力化、所得向上につなげます。福岡県と連携して進めているシカ・イノシシ対策の緩衝林整備の対象エリアを青柳地区に拡大します。薦野清滝地区の農業基盤整備を着実に進めるとともに、農業振興地域における農用地保全を支援します。
古賀駅東口エリアの都市計画決定をめざします。古賀駅西口エリアの社会実験の成果を踏まえ、商工会館や憩いの広場の一体的な活用も念頭に、西口エリア一帯でウォーカブルな空間を形成します。空き家や空き店舗のリノベーションによる飲食・小売業やゲストハウス、ワークスペース、交流拠点などの新規展開を促し、関係人口拡大とにぎわい創出につなげます。
公金収納のデジタル化を推進し、納付手段のキャッシュレス化の拡大を図ります。既に導入済みの地方税に加え、各種保険料や使用料金などについて、クレジットカードやスマートフォンアプリを使い、いつでもどこでも決済できるようにします。
古賀市消防団の新たな体制でのスタートを確実に支援します。自治会や校区コミュニティ、PTCA、子ども会育成会をはじめとする地域に根差した活動を支えるとともに、子どもと高齢者が集える多世代型の居場所づくりを進めるなど、共助の機運醸成を図ります。外国籍市民が安心して生活できるよう、市民協同の交流型日本語教室を軸とした自治会との連携や外国籍の子どもの保護者に対するアウトリーチ型相談支援を充実させ、多文化共生を推進します。駐福岡大韓民国総領事館との連携を強化し、国史跡船原古墳を活用した日韓交流を促進します。特撮美術監督の井上泰幸氏の故郷として市内外の皆さんとともに特撮文化を継承し、次代につなぎます。名誉市民の中村哲さんの志と功績を引き継ぐため「荒野に希望の灯をともす」の上映会とワークショップを開催します。
あらゆる差別を許さない立場から、外国人への差別意識・排他的言動を助長、誘発するヘイトスピーチの解消をはじめ全ての人の人権保障をめざした取り組みを強化します。
令和9(2027)年の市制施行30周年に向けて具体的な検討に着手します。
なお、ここでは基本的に現在展開している既存事業を記載していませんが、全ての部署で時代を捉えた新たな取り組みを検討するとともに、費用対効果や優先順位の低い事業については過去からのしがらみなどにとらわれることなく廃止・縮小を積極的に進めてください。
5 働き方改革、オフィス改革と政策間連携
古賀市は働き方改革を推進しています。DX、テレワーク、時差出勤、リモート会議、ペーパーレス、立ち会議、男性育休取得促進、窓口受付時間短縮をはじめとする取り組みは、業務効率化と生産性向上で市民サービスの充実を図ることはもちろん、職員のウェルビーイングを高める健康経営の促進を意図しています。快く働くことができ、ひいては快い生き方につながる職場は、公務員志望者が減少する中で自治体が優秀な人材を獲得するための重要な要件と考えるからです。カスタマーハラスメント対策の確立、副業(兼業)の機会拡大の検討、国や県の機関・民間企業との人事交流や派遣に取り組みます。職場ごとに前提条件は異なりますが、全ての職場で主体的に働き方改革を進めるとともに、その実効性を高めるためにフリーアドレスデスクの導入をはじめとしたオフィス改革も検討してください。これらは、組織の「風通しのよさ」を実現し、政策立案機能の強化につながります。
なお、予算編成に当たっては、部署を横断して情報共有と政策間連携を図り、アイデアや可能性を一緒に追求し、最大の成果を挙げることを意識してください。
6 新たな財源の確保や既存資源の活用に向けた検討を行うこと
財政状況が厳しくなりつつある中でも、まちづくりは挑戦を意識し、委縮してはなりません。将来の税収増加をめざし、為すべき施策に果敢に取り組んでいきます。
一方、積極的な行政運営を行うためには、新たな財源確保の手段を検討する必要があります。クラウドファンディングなどの経験を生かし、今後につなげていきます。また、ふるさと応援寄附制度の取組を一層強化し、寄附金の増額を図ることはもちろん、市が有する既存の人材や情報・ネットワーク、民間企業の知見等を活かし、市の実質負担を最小化しつつ事業を推進し、行政課題の解決や市民ニーズへの対応を図る手法などを検討するとともに、企業版ふるさと納税制度の活用、税収確保のためのあらゆる角度からの検討を行い、国・県その他の補助金や交付金の活用についても積極的に推進していくことが求められます。既存資源の有効活用も重要です。
7 市議会、市民の皆さまからの意見を振り返ること
市民の負託を受けた市議会議員の皆さまからの指摘・提案は重要です。地方自治は二元代表制であることをあらためて自覚し、これまでの本会議や委員会での議論を振り返り、有意な提案については施策に反映させることを検討していきます。また、私は市民の皆さまとの「対話と交流」を市政運営につなげています。市長就任後、対話集会を重ね、意見募集も積極的に実施し、市民の皆さまの「声」を意思決定や政策遂行に反映させてきました。今後も組織としてこの基本を大切にしていかなければなりません。
◇
なお、古賀市HPで市長メッセージに加え、予算編成方針、中期財政見通しを公開しています。それぞれPDFファイルをアップしていますのでご参照ください。(
こちら )
投稿者:【mayor2010】
2024年10月02日 17時26分
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