市街化区域に比べ地価が安く、土地利用規制が緩い都市計画区域外の地域では、これまで計画性に乏しい開発が進行し、環境の悪化が顕著に見られるようになりました。
例えば、田畑の中に住宅や工場が建ったり、住宅地の中に工場が建ったりするなど用途の混在が起こっています。その結果、河川や農業用水路に住宅からの生活雑排水や工場からの排水が流入し自然環境を悪化させるとともに、工場からの騒音や振動による生活環境の低下などが起こっています。また、敷地面積が狭く駐車場が確保できないため、路上駐車の多い道路や敷地と接する道路が狭い場所もあります。そのため、緊急時に消防車や救急車などが通行しにくいといった問題も発生しています。
平成19年に実施した「まちづくりに関する市民アンケート」の結果からも、都市計画区域外の地域である小野小学校区では「もう少し土地利用規制を強くすべき」という回答の割合が他地区に比べて多く、こうした状況を懸念する住民の意向が伺えます。
ところで、現在の都市計画区域外の地域を市街化調整区域に指定すると、どのような影響が考えられるのでしょうか。
まずメリットとしては、都市計画法により開発や建築行為が厳しく規制されることから、自然環境や営農環境の悪化を食い止めることができます。また、都市計画区域に編入されると、全市的な視点から道路や下水道など必要な都市施設整備が計画的に実施できるようになります。
一方、デメリットとしては、現在建築物が建っていない土地(雑種地など)や、開発の可能性がある農地などの資産価値が低下することが予想されます。
近隣の自治体の状況はどうでしょうか。
古賀市と同様に都市計画区域外の地域が存在していた隣の新宮町は、平成9年度に相島を除く町全域を都市計画区域に指定しました。また、旧志摩町では、平成13年度に町の大部分を市街化調整区域に指定しました。
新たに都市計画の規制を設けようとする際には様々な問題が起こったであろうことは想像に難くありませんが、いずれの町もこれを乗り越えて計画的なまちづくりを進めています。
古賀市においても、平成13年に市議会の議決を経て策定された「第2次国土利用計画」では、「市全域の都市計画区域編入について速やかに検討する」という重要な方向性が盛り込まれました。
次回は、「第2次国土利用計画」策定の際にどのような議論が行われたかについて触れてみます。(その4に続く)
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投稿者:【mayor】
2010年04月15日 08時30分