○古賀市森林緑地環境保全条例
平成17年3月29日
条例第2号
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 森林緑地環境保全地区(第6条―第10条)
第3章 行為の制限(第11条―第17条)
第4章 雑則(第18条―第20条)
第5章 罰則(第21条―第24条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、古賀市の森林緑地環境を適切に保全するために必要な事項を定めることにより、森林緑地の無秩序な開発を抑制し、森林緑地環境が有する公益的機能の維持と強化に努め、もって現在及び将来の市民の安全と快適かつ健康で文化的な生活環境の確保に寄与することを目的とする。
(用語の定義)
第2条 この条例において「森林緑地」とは山林、樹林地、草地、水辺地又はその状況がこれらに類する土地が単独で又は一体となって、良好な自然的環境を形成しているものをいう。
2 この条例において「森林緑地環境」とは、森林緑地の持つ多様な機能が発揮され生物の生息生育や人の生活を支える環境の総称をいう。
(1) 土砂災害防備機能 森林緑地がもつ機能のひとつで、地表の侵食の抑制、土砂の流出、崩壊の防備等の機能をいう。
(2) 水源涵養機能 森林緑地がもつ機能のひとつで、降水の貯留、水流量の抑制、土壌浸透による水質の浄化等の機能をいう。
(3) 生物多様性維持機能 森林緑地がもつ機能のひとつで、遺伝子や生物種、生態系を保全する根源的な機能をいう。
(4) 景観形成機能 森林緑地がもつ機能のひとつで、周囲の農地や集落と一体となり、又は都市の背景としての良好な景観を形成する機能をいう。
(5) 保健休養機能 森林緑地がもつ機能のひとつで、自然と触れ合う場を提供し、健康増進に効果をもたらす機能をいう。
(市の責務)
第3条 市は、森林緑地環境の公益的機能の維持及び強化に資する森林整備並びに森林緑地の市民利用の促進に努めるものとする。
2 市は、市民及び事業者の森林緑地環境の保全の必要性に対する認識を深めるための普及啓発及び教育を推進するものとする。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、事業活動を行うに当たっては、森林緑地環境の破壊防止に努め、現存植生の保全、緑地の造成、適正な排水の管理その他森林緑地環境の保全に必要な措置を講ずるとともに、市が実施する森林緑地環境の保全に関する施策に協力しなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、日常生活において森林緑地を損なわないよう、自らその保護に努めるとともに、市が実施する森林緑地環境の保全に関する施策に協力しなければならない。
第2章 森林緑地環境保全地区
(森林緑地環境保全計画の策定)
第6条 市長は、森林緑地環境の保全のための計画(以下「森林緑地環境保全計画」という。)を策定するものとする。
2 森林緑地環境保全計画は、次の各号に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 森林緑地又はその周辺地域にとって有用な公益的機能の存する区域の選定及びその分類に関すること。
(2) 開発行為等に求められる森林緑地環境の保全上必要な措置に関すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、森林緑地環境の公益的機能の維持及び強化のための施策の方向性に関すること。
3 市長は、森林緑地環境保全計画を策定するときは、古賀市環境基本条例(平成16年条例第17号)第24条第1項に規定する古賀市環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、森林緑地環境保全計画を策定するときは、その旨を公告し、その案を当該公告の日の翌日から起算して14日間公衆の縦覧に供しなければならない。
(1) 土砂災害防備機能保全区域 土砂災害の危険性が高い立地条件にあり、かつ、土砂災害防備機能を有していることから、その森林緑地を保全することが特に必要な区域
(2) 水源涵養機能保全区域 高度の水源涵養機能を有していることから、その森林緑地を保全することが特に必要な区域
(3) 生物多様性維持機能保全区域 地域の典型的な生物群集を支える生態系として、また希少な動植物の生息生育環境としての生物多様性維持機能を有していることから、その森林緑地を保全することが特に必要な区域
(4) 景観形成機能保全区域 地域固有の景観の形成のために景観形成機能の果たす役割が大きいことから、その森林緑地を保全することが特に必要な区域
(5) 保健休養機能保全区域 高度の保健休養機能を発揮し、又は期待できることから、その森林緑地を保全することが特に必要な区域
2 市長は、森林緑地環境保全区域を指定するときは、あらかじめ、森林緑地環境保全区域に係る土地の所有者に対し、指定の趣旨及び内容を通知するものとする。
4 市長は、前項の規定により縦覧に供された案について異議がある旨の意見書の提出があったときであって、当該指定に関し広く意見を聴く必要があると認めるときは、公聴会を開催するものとする。
5 市長は、森林緑地環境保全区域を指定したときは、その旨及びその区域を告示するものとする。
6 森林緑地環境保全区域の指定は、当該告示の日から、その効力を生ずる。
(区域指定の解除及び区域の変更)
第8条 市長は、次の各号に掲げる場合には、森林緑地環境保全区域の指定を解除し、又はその区域を変更することができる。
(1) 公益的機能の発揮が長期にわたり期待できず、他の公益的機能に及ぼす影響が小さいと認められる場合
(2) 公益上必要な施設の建設等が行われる場合
(3) 前2号に掲げるもののほか、市長が特に必要があると認めた場合
2 森林緑地環境保全区域の指定の解除及びその区域の変更については、前条を準用する。
(標識の設置)
第9条 市長は、森林緑地環境保全区域を指定したときは、その区域内にその旨を表示した標識を設置するものとする。
2 何人も、前項の規定により設けられた標識を市長の許可を得ないで移転し、若しくは除去し、又は汚損し、若しくは損壊してはならない。
(立入調査)
第10条 市長は、森林緑地環境保全区域の指定、指定の解除又は変更のために必要があると認めるときは、当該職員に、当該区域の他人の土地に立ち入らせ、調査をさせることができる。
2 前項の規定による立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
4 何人も、正当な理由がない限り、第1項の規定による立入調査を拒み、又は妨げてはならない。
第3章 行為の制限
(森林緑地環境保全区域における行為の制限等)
第11条 森林緑地環境保全区域において、次の各号に掲げる行為をしようとする者は、規則で定めるところにより、市長の許可を受けなければならない。
(1) 建築物その他の工作物を新築、改築、増築及び移転
(2) 宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更
(3) 鉱物の掘採又は土石の採取
(4) 開発行為に伴う木竹の伐採
(5) 土石、再生資源、土木建築資材その他の物件の堆積
(1) 国、県又は市が行う災害防止事業、災害復旧事業、治山事業及び林道事業等に係る行為
(2) 公益性が特に高いと認められる事業に係る行為であって、森林緑地環境保全に支障を及ぼすおそれがないものとして規則で定める行為
(3) 前2号に掲げるもののほか、規則で定める行為
(1) 土砂災害防備機能保全区域においては、許可を受けようとする土地及びその周辺において、相当の降雨によっても土砂流出、土砂崩壊等の災害を防止する充分な対策が講じられていると認められるものとして規則で定める基準に適合していること。
(2) 水源涵養機能保全区域においては、雨水の浸透、地下水の経路に影響を及ぼすような地形又は植生の改変がなく、許可を受けようとする土地を含む流域の水資源の涵養に支障を生じないと認められるものとして規則で定める基準に適合していること。
(3) 生物多様性維持機能保全区域においては、許可を受けようとする土地が希少な動植物の生息生育地でなく、かつ、当該土地を含む当該区域の生態系及び動植物の生息生育環境への影響が小さいと認められるものとして規則で定める基準に適合していること。
(4) 景観形成機能保全区域においては、許可を受けようとする土地の位置及び許可を受けようとする行為の規模、意匠等が、周囲の農地や集落と一体となる景観と著しく不調和でなく、また都市の背景としての景観に著しい違和感を与えないと認められるものとして規則で定める基準に適合していること。
(5) 保健休養機能保全区域においては、許可を受けようとする行為が自然と触れ合って安らぎを感じる場としての快適性を損なわせず、保健休養の場としての市民の利用を阻害しないと認められるものとして規則で定める基準に適合していること。
(地位の承継)
第13条 第11条第1項の許可を受けた者から、当該許可に係る土地、建築物その他の工作物又は物件を譲り受け、又は借り受けた者は、当該許可を受けた者の地位を承継する。
2 第11条第1項の許可を受けた者が死亡したときは相続人が、当該許可を受けた法人の合併があったときは合併後存続する法人又は合併により設立された法人が、当該許可を受けた法人の分割(当該許可に係る事業の全部を承継させるものに限る。)があったときは分割により当該許可に係る事業の全部を承継した法人が、それぞれ当該許可を受けた者の地位を承継する。
3 前2項の規定により地位を承継した者は、その承継があった日の翌日から起算して30日以内に、規則で定めるところにより、市長にその旨を届け出なければならない。
(許可の取消し)
第14条 市長は、第11条第1項の許可を受けた者について、偽りその他不正の手段により当該許可を受けたことが判明したときは、当該許可を取り消すことができる。
(中止命令等)
第15条 市長は、次に掲げる者に対し、当該行為の中止を命じ、相当の期間を定め、原状回復又はこれに代わる措置を講ずるよう命ずることができる。
(2) 第11条第2項の許可に付された条件に違反する行為を行った者
3 前項の規定による立入検査又は立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
4 第2項の規定による立入検査又は立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(公表)
第17条 市長は、第15条の規定により命令を受けた者が正当な理由がなく命令に従わないときは、その者の氏名及び命令の内容を公表することができる。この場合において、市長は、あらかじめ、当該命令を受けた者に対し、その理由を書面により通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。
第4章 雑則
(関係機関との協働)
第18条 市長は、国、県その他の関係行政機関と連携し、森林緑地環境の保全のため必要があると認めるときは、これらの関係行政機関の長に対し、必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
(助言、指導及び勧告)
第19条 市長は、この条例の目的を達成するために必要があると認めるときは、事業者及び市民に対し、森林緑地環境の保全のために必要な助言、指導及び勧告をすることができる。
(委任)
第20条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
第5章 罰則
(罰則)
第21条 第15条の規定による命令に違反した者は、6箇月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第22条 次のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。
(1) 第10条第4項の規定に違反した者
(2) 第16条第1項の報告をせず、又は虚偽の報告をした者
(3) 第16条第5項の規定に違反した者
第23条 第9条第2項の規定に違反した者は、10万円以下の罰金に処する。
附則
(施行期日)
1 この条例は、規則で定める日から施行する。