○古賀市子ども・子育て支援条例
平成31年3月29日
条例第10号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 市の責務等(第4条―第10条)
第3章 役割・大切にすること(第11条―第16条)
第4章 人権教育の推進(第17条)
附則
未来をつくる子どもたちは、ひとりの人間としてかけがえのない存在であり、また古賀市のかけがえのない「宝」であり、「未来への希望」です。
私たちは、子どもたちが家族や友人、地域の深い愛情に包まれて育ち、夢をかなえ、社会の一員として、将来に向かって羽ばたいてほしいと願っています。
しかし、近年、少子化や子どもの貧困、児童虐待等子どもを巡る様々な問題が生じており、子どもが健やかに成長するための環境をつくり上げていくことが求められています。
子どもは、まちの未来を築くかけがえのない存在であり、子どもの健やかな育ちと子育て家庭を地域で支えることは、子ども自身や保護者のみならず、地域社会にとっても重要なことです。
古賀市では、安心して子どもを産み育てることができる環境づくりのため、子ども・子育て支援を進めていますが、日々変化する環境に対応していくためには、さらなる支援に取り組むことが必要です。
ついては、児童の権利に関する条約の理念にのっとって、あらゆる可能性を秘めた子どもが健やかに成長するための環境をつくり、子どもの生きる力を育むための子ども・子育て支援に古賀市全体で取り組み、実現していくためにこの条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、子ども・子育て支援についての基本理念を定め、市の責務並びに市民等、学校等、地域団体、事業者及び保護者の役割並びに子どもが大切にすること等の子ども・子育て支援を総合的に推進していくための基本的事項を明らかにすることにより、安心して子どもを産み育てることができる環境を整え、子どもが健やかに成長できる社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) 子ども 18歳未満の者その他これらの者と同等と認めることが適当である者をいう。
(2) 保護者 親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子どもを現に監護するものをいう。
(3) 学校等 小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、保育所、幼稚園、学童保育所、障がい児支援施設その他これらに類する機関をいう。
(4) 地域団体 自治会、校区コミュニティ、市民活動団体その他地域で活動する団体をいう。
(5) 事業者 市内で事業を営む個人又は団体(地域団体を除く。)をいう。
(6) 市民等 市内に住所を有する者、市内に通勤又は通学する者、事業者及び地域団体に属する者をいう。
(7) 子どもの問題 児童虐待、いじめ、不登校、子どもの貧困その他の子どもに関する問題をいう。
(改正(令3条例第6号))
(基本理念)
第3条 子ども・子育て支援は、次の各号に掲げる事項を基本理念として推進するものとする。
(1) 子どもの健やかな成長及び自立が図られること並びに児童の権利に関する条約の理念にのっとり、子どもの権利が尊重されること。
(2) 市、市民等、学校等及び地域団体は、共働で子ども・子育て支援に取り組むこと。
(3) 市は、誰もが安心して子どもを産み育てることができ、子どもが生きる力を養い、健やかに成長することができる環境の整備に取り組むこと。
第2章 市の責務等
(行動計画)
第4条 市は、基本理念に基づき、子ども・子育て支援についての行動計画を策定し、子ども・子育て支援を総合的に推進しなければならない。
(連携体制の構築)
第5条 市は、子どもの権利、安全及び健やかな成長が守られるよう、学校等その他の子ども・子育て支援に関わる機関に係る連携体制の構築に努めなければならない。
(機会等の提供)
第6条 市は、子どもの体験活動及び知識習得等の機会の提供に努めなければならない。
2 市は、子どもの居場所の提供に努めなければならない。
3 市は、保護者に対し、子育てに関する知識習得の機会及び子育てに関する情報の提供に努めなければならない。
4 市は、保護者同士の交流の機会の提供に努めなければならない。
5 市は、子どもの問題や子育てに関する相談の機会の提供に努めなければならない。
(施設の充実等)
第7条 市は、子どもが利用する施設の充実及び子ども・子育て支援に関する人材育成に努めなければならない。
(安全対策)
第8条 市は、関係機関と協力して犯罪、交通事故その他子どもの安全を阻害することについての対策を講ずるよう努めなければならない。
(啓発)
第9条 市は、子どもが保護者と豊かな家庭生活を送ることができるよう、市民等、学校等、地域団体及び保護者の役割について啓発に努めなければならない。
(児童虐待への対応)
第10条 市は、児童虐待の発生予防、早期の発見及び対応のために、支援体制の充実に向けた取組を推進しなければならない。
2 市は、市民等、地域団体及び学校等その他関係機関から提供された児童虐待の情報に適切に対応するものとする。
3 市は、虐待を受けた子どもに適切な支援を行うよう努めなければならない。
第3章 役割・大切にすること
(市民等の役割)
第11条 市民等は、子ども・子育て支援への理解を深め、子どもを見守り、子育て家庭の支援に努めるものとする。
2 市民等は、自らの言動が子どもに与える影響の大きさを自覚し、子どもの模範となるよう努めるものとする。
3 市民等は、子どもの問題に関心を持ち予防に努めるものとする。
4 市民等は、特別な支援が必要な子どもへの理解を深めるよう努めるものとする。
5 市民等は、市、学校等及び地域団体が行う子ども・子育て支援についての取組に協力するよう努めるものとする。
(学校等の役割)
第12条 学校等は、子どもの健やかな成長のため、その発達及び年齢に応じた学びの場としての環境を整え、教育の充実に努めなければならない。
2 学校等は、学校等相互に、並びに保護者、市民等及び地域団体と協力し、子どもが生きる力を身に付けられるような教育環境づくりに努めなければならない。
3 学校等は、子どもの問題の未然防止、早期の発見及び対応に努めなければならない。
(地域団体の役割)
第13条 地域団体は、保護者から子ども又は子育てについての相談があったときは、その相談に応じ、助言、関係機関の情報提供その他の必要な支援を行うよう努めるものとする。
2 地域団体は、市民等が自主的に行う子ども・子育て支援のための取組に協力するよう努めるものとする。
3 地域団体は、子どもが豊かな心、生きる力及び社会性を養うための体験活動及び知識習得等の機会を提供するよう努めるものとする。
4 地域団体は、子ども・子育て支援において相互に連携するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第14条 事業者は、子育てにおける保護者の役割を理解し、仕事と子育てとが両立できるよう、労働環境の整備に努めるものとする。
(保護者の役割)
第15条 保護者は、自らが子育てにおいて最も重要な責任を担うことを自覚し、子どもの健やかで豊かな人間性を育むよう努めるものとする。
2 保護者は、子どもが自らを大切にする心を持ち、基本的な生活習慣及び規範意識を身に付けられるよう、愛情を持って育てるよう努めるものとする。
3 保護者は、子どもと地域との関わりが子どもの健やかな成長に資することに鑑み、子どもが地域と関わる機会を提供するよう努めるものとする。
(子どもが大切にすること)
第16条 子どもは、その発達及び年齢に応じて、次の各号に掲げる事項について大切にすることとする。
(1) 自らを大切にし、自らの権利について考えること。
(2) 他人を思いやる気持ちを養い、他人の権利を尊重すること。
(3) 遊び及び学びを通して、社会性を養い、社会の一員として規範を守ること。
(4) 自立に向けて、生きる力及び主体性を養うこと。
第4章 人権教育の推進
(人権教育)
第17条 市は、子どもの人権を尊重する心を育むため、幼児期からの継続した人権教育を推進しなければならない。
2 学校等は、子どもの人権感覚を養い、人権意識を高揚させるため、その発達及び年齢に応じた人権教育に取り組まなければならない。
3 学校等は、人権教育に関する教職員の研修に取り組まなければならない。
4 市民等は、子どもの人権を尊重する心を育むため、子どもの模範となるよう努めるものとする。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成31年10月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現に策定している古賀市子ども・子育て支援事業計画は、第4条の規定により策定した行動計画とみなす。
附則(令和3年3月26日条例第6号)
この条例は、令和3年4月1日から施行する。