ひと育つ こが育つ
船原古墳遺物埋納坑からは数種類の雲珠・辻金具が出土しています。今回、そのうちの一種がガラスの装飾を取り付けたものであったことが明らかになりました。
発見当時、雲珠・辻金具に取り付けられた装飾は白色であり(下左写真参照)、その材質は古墳時代の類似した雲珠・辻金具と同じく、貝ではないかと推測されていました。しかし、九州歴史資料館の協力により蛍光X線分析を行なった結果、鉛やケイ素を含む鉛ガラスが白っぽく風化したものであることが分かりました。
ガラス製の装飾が付いた馬具は、国内では藤ノ木古墳(奈良県)出土の馬の鞍がありますが、ガラス装飾付の雲珠・辻金具の発見は国内初となります。一方、韓国慶州にある新羅の王陵、皇南大塚古墳からは類似した辻金具が見つかっており、当時の新羅との交流を考える上で議論を呼ぶことになりそうです。
馬に乗り馬を操るためには、馬の口にはめ手綱を取り付けて馬をコントロールする轡、人が乗るための鞍、足を乗せるための鐙などの馬具を取り付ける必要があります。それらを馬に装着するために用いる紐や革帯が交差する部分に取り付けた金具が雲珠や辻金具です。
雲珠・辻金具は紐や革帯を連結する役割を担うと同時に装飾品でもあったと考えられます。今回その材質が明らかになった雲珠・辻金具も、金銅製の土台部分にガラス装飾を取り付けたもので、馬の背を煌びやかに飾ったことがうかがわれます。
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