ひと育つ こが育つ
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6月になると夕闇に蛍が舞い飛び、蛙の鳴き声が騒がしく田園地帯にこだまします。
田植えを終えると、夏祭りやお盆と、女性は農作業と各行事の食事作りに慌しくなります。
このころにはがめの葉も大きくなり、香りもよくなり、もてなしにがめの葉まんじゅうがふるまわれました。
昔はどの家でも「田植ちこさん」を頼み、夜明け前から夕方暗くなるまで、縄を張り、苗をとり、手植えで、今とは比べ物にならない重労働でした。
女性は、田植えの一方で、みんなの食事のしたくもしなければならず、田んぼの畦などで手軽に短時間で食べられるよう工夫したものがふるまわれました。
またおやつには、腹持ちのよい「田植えだご」や「がめの葉まんじゅう」が食べられました。
◎田植えだご
自家製の寒ざらし粉に水を加え、耳たぶぐらいの硬さにこねたものを、小判型に平たく丸め、沸騰湯に入れ、浮き上がってくるまでゆでる。
きな粉と塩・黒砂糖をまぜあわせたものをまぶす。
無事に夏を乗り越えられるよう無病息災を祈って行われる400年あまり続く伝統的な祭りです。
茅(ちがや)で作った直径2m以上の輪を、五所八幡宮境内の鳥居に取り付け、くぐってお参りをします。
かやは厄除けになると信じられていることから、帰りには、かやを1本抜いて持ち帰り玄関に挿しておきます。
毎年7月31日に行われ、‘夏越し’ともいうこの催しの時は、親戚を招いて、散らし寿司や、がめの葉まんじゅうでもてなしました。
◎がめの葉まんじゅう
だんご粉に水を少しずつ加えながら耳たぶの硬さになるまでよくこねる。
よく洗ったがめの葉を、水にサラダ油を入れ、そのなかにさっとつけておく。
こねただんごであんこをくるみ、2枚のがめの葉で挟み包む。蒸気のたったせいろ(蒸し器)に並べ、葉の色が変わるまで強火で10分程度蒸す。
8月13日には仏壇を飾り、だんごや季節の野菜、果物、花を供え、夕方、先祖を迎えます。
14日には親戚縁者が集い、料理でもてなします。
15日の夕方に供物を包み、線香や花、水を持って先祖を墓まで送ります。
◎あちゃら漬け
白ウリ・きゅうり・にんじんは薄切りにし、塩もみして熱湯をかけて塩抜きし、しぼります。
干ししいたけは戻してせん切りにします。昆布は、結び昆布にし、ごぼうは薄く斜め切りにして水につけてアク抜きをします。
鍋に酢・薄口しょうゆ・砂糖を入れ、しいたけ・結び昆布・ごぼう・にんじんの順に入れ、沸騰したら火を止め冷まします。
冷めたら白ウリ・きゅうりを入れ、混ぜます。
あちゃら漬けは保存性が高く、暑い夏でも日持ちのよい、さっぱりした味のお盆に欠かせない料理です。
◎たらわた
たらわたを米のとぎ汁に一晩つけてアク抜きをし、よく洗って一口大に切ります。
鍋で柔らかくなるまで弱火で30分ほど煮ます。
砂糖・しょうゆ・みりん・出し汁を加え、汁がなくなるまで煮からめます。
*たらわたとは、たらのエラと胃袋のことです。
*お盆の精進料理のなかで唯一の魚料理です。
◎ところてん
よく洗った天草と、水・酢を鍋に入れ、中火で約1時間煮ます。
これを布でこし、流し箱に流し込んで冷やし固めます。適当な大きさに切り、酢じょうゆやショウガじょうゆをかけていただきます。
◎きゅうりのカリカリ漬け
きゅうりとにんじんは拍子切りにし、薄塩をして、しんなりさせます。
その後、水を流して塩抜きしてしぼります。
鍋にしょうゆ・砂糖・酢・みりん・昆布・唐辛子を入れ沸騰させた後冷まします。
冷ました漬け汁にきゅうりとにんじんを入れ、一昼夜漬けます。
*針ショウガをのせていただいても美味しいです。
*きゅうりのかわりに、白ウリや大根でも美味しく作れます。
◎らっきょう漬け
下漬け
らっきょうをよく洗い、上下を切り落とします。
水をよく切って塩・酢・水を入れてよく混ぜ、重石をのせた樽で4~5日漬けます。
本漬け
下漬けしたらっきょうを水洗いし、ざるにあげて水をきります。
鍋に酢・砂糖・みりん・唐辛子を入れひと煮立ちさせ、漬け汁をつくります。
ビンにらっきょうをつめ、漬け汁が熱いうちに注ぎいれます。