ひと育つ こが育つ
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年間を通して、さまざまな伝統行事や節供に応じて寄り合いがあり、季節に採れる食材を使った郷土料理が受け継がれてきました。
各行事で、各々の家庭の味が、親戚縁者や近所の人にふるまわれ、座を賑わしてきた料理を紹介します。
ぬたえは酢じめの生魚と大根の薄切りを酢味噌で和えたものが一般的ですが、古賀ではゆでてせん切りにした鶏皮を甘く煮て使われることが多いようです。
薄めの短冊切りにした大根とせん切りにしたにんじんを薄塩をしてよくしぼり、皮と味噌・酢・砂糖・みりん・ごま・唐辛子で和え、かざりに小ねぎをちらします。
せん切りにした大根に塩をし、汁気をしぼって、酢〆にした魚と合わせ酢で和えます。
紅白の彩りがおめでたいので、にんじんのせん切りも祝いの膳ではよく使われます。「なます」は生の食材を酢で和えることに由来します。
昔は赤米を炊いて神前に供えたものを強飯(こわめし)と呼んで神聖なものとされていましたが、赤米の生産が少なくなり、もち米に煮た小豆と煮汁を混ぜて、赤飯が炊かれるようになりました。
また赤い色には厄除けの力があると信じられており、お祝い事には欠かせないものとなっています。
一般的に九州以外では「筑前煮」と呼ばれ、福岡では博多弁の「がめくる(寄せ集める)」に由来して名づけられたという説があります。
他県の煮物との違いは、材料の多さと鶏のうまさでしょう。「筑前煮」の呼称は、学校給食で郷土料理の一環として全国に浸透したそうです。
福岡では昔から鶏肉をかしわといい、かしわごはんは鶏肉の炊き込みご飯です。
細切りにしたかしわと、といで30~60分おいた米・水・しょうゆ・酒を一緒に炊きます。
かしわごはんと一緒に出てくるのは、かしわと大きめに切った豆腐が入り、薬味には小ねぎをちらした吸い物です。
さっぱりとした中にも味わい深い炊き込みご飯とお吸い物は、寄り合いには欠かせない御ご馳走でした。
昔から、古賀の農家では鶏を飼っていて、卵を産ませたり、親鳥を料理に使っていたことから、古賀市では鶏のことを「庭野菜」と呼ぶこともありました。
それほど鶏が身近な食材であったということです。すき焼きは牛すき焼きが一般ですが、古賀ではすき焼きといえば骨ごとのかしわのすき焼きのこと。
鍋でかしわを炒めて砂糖をからめ、しょうゆで味付け、そこに豆腐・ねぎ・白菜・糸こんにゃくなどを入れて、次々煮ながら食べます。
おわんに生卵をおとし、つけて食べてもよいですし、煮汁がたまってきたらうどんなどの麺類を入れてもおいしいです。そしてまた肉や野菜を入れて焼くということを何回も繰り返しながら、丸い飯台を囲んで話に花を咲かせ、なごやかで楽しい時間を過ごしていました。
*ガスコンロのない時代は「丸飯台」ですき焼きや鍋物を食べていました。丸飯台は中央が丸くくりぬかれ、ここに七輪(土製の炭火コンロ)を据えて鍋をかけていました。