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問題が起きたとき、加害者と被害者はその渦中にいます。問題の解決には、たくさんの人の支援や知識が必要です。そして、今後同じような問題が起こらないように、環境を整えていくことも求められます。
古賀市は、人権に関する個別問題を下記のように捉えています。現在は社会情勢の変化とともに、新たな問題が増加しています。すべての問題に取り組んでいきますが、今後も同和問題を人権に関する問題の重要な柱のひとつとして位置づけます。
日本社会の歴史的発展の過程で形成された差別により、同和地区の人々が経済的・社会的・文化的に低位の状態におかれ、今もなお、日常生活の上で差別を受けるなど、我が国固有の人権問題です。近年でも啓発用横断幕の切り裂き事件、インターネット掲示板への差別扇動の書き込みなどが発生しており、まだ多くの課題を残している状況です。解決に向けて、一人ひとりが正しく理解・認識し、差別意識の解消に向けて取り組むことが必要です。
男女の役割を性別により固定化する考え方は、依然として根強く、性別に起因する差別や偏見を助長し、そのため両性の自由な生き方が阻まれるなど、真の男女平等の達成には、なお一層の努力が必要です。近年、セクシャルハラスメント、配偶者等からの暴力(ドメスティックバイオレンス)やストーカー行為など、女性に対する人権侵害が顕在化し、社会問題となっています。また、就業の場などでの差別的処遇の問題も存在しています。男女の人権が等しく尊重され、女性も男性も自らの選択によってあらゆる場において活躍でき、また、お互いが生き方を楽しみ、支え合い、利益も責任も分かち合える男女共同参画社会の実現が求められています。
男女共同参画は、まさしく男女それぞれの自己実現の課題であり、人権課題そのものです。市民と行政が将来に向かって、男性と女性が対等なパートナーシップで真の男女平等を達成することにより、心豊かに暮らせるまちづくりをめざさなければなりません。
いじめ、児童虐待、性情報の氾濫など、子どもたちを取り巻く状況は、激変する社会情勢の中において、非常に厳しい状況にあります。また、いじめにより、子どもが自らその命を絶つという痛ましい事件が相次いで発生しています。このような事件は、理由を問わず、決してあってはならないことで、社会全体として深刻に受け止めなければならない、極めて重大な人権侵害の問題です。子どもの健やかな成長を支え、安心して子育てできるまちをめざして、学校・家庭・地域が連携して、それぞれの役割を果たしていく必要があります。
団塊の世代が、高齢期に到達する2015年(平成27年)を控え、古賀市においても、高齢化率は上昇し、平成28年4月末には24.07%程度に達し、それに伴い、今後認知症や一人暮らしの高齢者が増加すると予想されます。
高齢者人口が確実に増加していく中で、高齢者が住み慣れた地域で、尊厳あるその人らしい生涯を送るためには、高齢者の権利擁護の理念を踏まえた地域社会の構築と、介護予防を含めた介護サービス体制の確立が不可欠です。
すべての高齢者が一人の人間として尊重され、はつらつと社会を支える重要な一員として、生きがいを持って、主体的に社会参加できるよう、高齢者についての理解を深め、高齢者をたいせつにする心を育てる必要があります。
「障害者基本法」は、「国及び地方公共団体は、障害者の権利の擁護及び障害者に対する差別の防止を図りつつ障害者の自立及び社会参加を支援すること等により、障害者の福祉を増進する責務を有する。」と定めています。
しかし、点字ブロック上への自転車の駐車などのように、施設の機能を阻害する、障がい者の人権を軽んじた行為が行われている実態があります。障がいのある人が社会生活をしていく上で、障壁(バリア)となるものを除去したいと設置されたものでも、すべての人がその意味を理解しなければ、機能しません。また、障壁(バリア)は物理的なものに限るものではなく、社会的、制度的、心理的なすべての場面で解消しなければならない問題です。
これらの課題解決のため、すべての人に優しいまちづくりを展開していかなければなりません。
今後も国際化が進む中で、本市に在住する外国人は、確実に増加することが予想されますが、言語、宗教、習慣等の違いによる人権侵害が、引き起こされています。これには、特に、朝鮮半島を植民地としたことにより、その後のさまざまな歴史的経過により、日本での居住を余儀なくされた人や、その子孫である在日コリアン(在日韓国・朝鮮人で韓国籍、朝鮮籍、日本国籍等の人)などに対するものと、最近の国際化の影響から、労働や結婚などの理由により、日本国内で生活することとなった人などに対するものがあり、それぞれ実態も課題も異なります。
在日外国人の人権問題は、多数者である日本人側の問題であり、その日本人が意識して、少数者(マイノリティ)のことを考えるという視点が重要です。在日外国人の人権問題は、取りも直さず日本人自身のあり様が問われる問題であり、どのように共生社会を築いていくかということが重要となります。
HIV感染者は、年々増加傾向にあり、中でも若年者の感染者が増えています。国においては、1999年(平成11年)に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が施行され、感染者等の人権に配慮した、予防及び医療に関する総合的な施策が推進されています。
これまでの教育・啓発により、正しい知識が普及し、HIVに対する誤った認識は、だんだんと薄れてきつつありますが、依然として偏見も存在しており、感染者であることが明らかになると、家庭の崩壊や、職場などでの差別が、引き起こされています。
また、ハンセン病については、適切な治療により、完治する病気であるにもかかわらず、国の政策の中で故郷や家族などとの関係を絶たれ、法律により、自らの意思によらない中絶や社会からの隔離を強制されてきた経緯があります。さらに、ハンセン病患者・元患者や、その家族に対する誤った認識によって、社会参画が阻まれるなどの課題が残されています。
HIVとエイズの違いなど、詳しくはエイズ予防財団のエイズ予防情報ネットをご覧ください。
エイズ予防情報ネット(別のウィンドウが開きます)
インターネットは、情報化の進展に伴って社会の隅々まで普及し、私たちの生活を便利で豊かなものにするために役立つ一方、情報発信の匿名性を利用して、他人を誹謗中傷する表現や差別を助長する表現などの個人や集団にとって有害な情報の掲載が行われ、人権侵害が多数発生しています。
2002年には、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任及び発信者情報の開示に関する法律」が施行され、インターネット上など情報の流通において、権利の侵害が行われた場合に、被害者がプロバイダー等に対して発信情報の開示請求をする権利を与えることが規定されています。
こうした法的措置の周知を図るとともに、憲法の保障する表現の自由に十分配慮しながら、インターネットによる人権問題の解決を図っていく必要があります。
詳しくは下記のページも参照ください。
インターネット・携帯電話と人権について
東日本大震災は、人権上も多くの教訓を残しました。それを国民全体で真摯に受け止め、決して風化させてはなりません。
第一は、戦後、日本人が見失いかけていた「絆」という人間の根源的価値観の再確認です。家族愛、地域愛、隣人愛、友情、助け合いといった日常の、ごく当たり前のことが真の幸せであるという認識に、多くの人が思い至ったということです。
第二は、風評による人権侵害の問題です。「放射能がうつる」などという根拠のない思い込みや偏見が、福島からの避難者に対するホテルの宿泊拒否、タクシー乗車拒否、保育園の入所拒否、児童の被災地でのいじめなどの差別事件を招きました。風評被害は農産物や観光地などの物的被害だけではないのです。しかも、風評による人権侵害は、災害の時にだけ発生する問題でなく、私たちの日常生活の中でも、危険が隣り合わせなのです。いつ、どこで、だれが被害者になるか分かりません。国や各自治体の市民意識調査を見ると、何らかの人権侵害を受けたことがあると答えた人のうち、特に多いのが「あらぬ噂や悪口、陰口」などの誹謗中傷による人権侵害です。
風評による人権侵害を防ぐためには、風評に惑わされない科学的認識(理性)を持つこと、偏見を抱かないこと、自分の目で確かめもせずに鵜呑みにしないこと、付和雷同する無責任さと卑怯さに気付くこと、そして何よりも相手の気持ちを思いやる心が大切です。
風評による人権侵害は、様々な人権問題の共通の課題として捉える必要があります。
犯罪の被害者やその家族は、直接的被害の他に、いわれのない噂や中傷により、傷つけられたり、プライバシーが脅かされたりするなどの人権侵害を受けることがあります。
また、罪を犯したことによる刑期を終え、社会復帰しようとしている人、性的マイノリティ(からだの性と心の性とが食い違う性同一性障がい者や、同性愛者・両性愛者といった性的指向が少数派である人)やホームレス等への人権侵害など、早急に解決しなければならないさまざまな人権問題が残されています。
人権問題は、これまで述べてきた個別の問題だけではなく、個々の問題が複合して存在しており、解決すべき課題が山積している中、それぞれの人権問題固有の課題をしっかり踏まえ、その根底にある構造を見極め、課題解決に向けた施策の推進に努めます。
さらに詳しい内容は、古賀市人権施策基本指針をご覧ください。
古賀市人権施策基本指針
人権センターWith(ウィズ)
人権教育・啓発係
電話:092-942-1128
FAX:092-942-1286
Eメール:jinken@city.koga.fukuoka.jp